Synanthrope

 

2016年12月7日発売(DAMR-7007)

税別¥2,000

 

1. Go Go

2. The Engine

3. Modern

4. Vision of Love

5. Harmony in the Chaos

6. Freedom

7. Reel Around the Station Square

8. Howdy!

9. Teenage Song

10. Colour of My Soul

11. Balance

12. Angelfish

前作「ナタリー」から3年4か月振り待望の3rdアルバムが遂に完成!新たにキーボードを加えて5人体制になり、
ネオアコサウンドは残しながらも、スケールを増した楽曲群はパワーポップ・シューゲイズなども取り入れた意欲作である
。ここには"ザ・ランドリーズ"にしか表現する事の出来ない色彩豊かな風景が間違いなく存在する。確かな歌、確かな演奏、確かな楽曲が織りなす至福の12曲49分49秒。

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推薦文

八野英史(b-flower )

 

越えてくるんじゃないか...。そんな予感がしていた。

 

 ランドリーズとの出会いは、当時発売されたばかりの2ndアルバム「NATALIE」のダイジェストをネットで偶然見かけたのが最初でした。「うわっ、何これ!」まさに度肝を抜かれるとはこのこと。80年代、90年代のイギリスのギターバンドのサウンドを見事なまでに現代に蘇らせて鳴らしていた。こんなバンドが日本に居たのか!早速購入して聴いたところ、「音」だけでなく、歌声、歌唱、メロディ、ギターのフレーズ、バンドとしてのアレンジ、楽器のアンサンブル、楽曲の構成・展開等々、驚きの完成度の楽曲が並ぶ。そして何より僕が感じたのは、その「音楽」に込められた言葉にはできない「意志」のようなもの。このバンドはいい!そう感じたのが2013年のこと。

 

そして2016年。今年になって、僕の大好きなスコットランドのバンドか次々にアルバムをリリースした。洋楽のロックやポップスを聴き始めて40年くらいになるけど、大好きな英国のギターバンドの中で最も好きなグループのいくつか、Trashcan Sinatras 、Travis、Teenage Fanclub の3つのバンド。どのアルバムも素晴らしくて、なんて今年は実りの多い年なんだと喜んでいました。

 

 そしてもうひとつ、ニューアルバムの発売を心待ちにしていたバンド、それがランドリーズ。そう、このバンドは単に「洋楽に憧れて洋楽と遜色ない音を鳴らすバンド」や「ネオアコ、ギタボのカテゴリーの枠内で、それ風の曲を作るバンド」ではない。彼らは自らを敢えて「ネオアコバンド」と称して来た(あまりかっこいいネーミングではないのを承知で、敢えて自らをそう呼んでいるのだと思う)。日本独自のその「ネオアコ」「ギターポップ」というカテゴリーは恐ろしく音楽的に狭いうえに閉鎖的で、小さな枠で囲まれ他の世界と隔てられている。その枠内にとどまり続ける(拡大再生産を繰り返し、その枠内でウケ続ける)のはミュージシャンにとってある意味楽だけれど、と同時に苦痛で退屈なことでもある。おそらくだけど、ランドリーズのメンバーのみなさんもそれをどこかでずっと感じていたんじゃないだろうか。だからその「枠」を越えてくるんじゃないか...。そんな予感がしていた。

 

でも...僕の予想とは異なり、彼らは今回その枠は越えなかった。その代わり、なんとなんとその枠を自力で広げて見せた。この3rdアルバム『Synanthrope』にて、自らの強い意志で真正面から正攻法にてその枠を広げるという離れ業に挑戦し、見事なまでに成功したのだ。(これは本当に凄いことなんだけど、僕の言ってるこの意味、伝わってるだろうか。)もう彼らは、従来の狭いネオアコ枠に収まるバンドでもないし、もちろんイギリスのギターバンドフォロワーなんかではない。前述の Trashcan Sinatras 、Travis、Teenage Fanclub等と同等の「ギターバンドの柱」として今、堂々と大地に立っている。さらに言うと、彼らは「越える」ことなく、「超えて」きた。彼らは、Trashcan Sinatras 、Travis、Teenage Fanclubの2016年の作品を上回る作品を今回作り上げたのだ。

 

 嘘だと思ったら1曲目のイントロから歌いだしの一声まで、ほんの30秒ほど聴いてみればいい。よほどの不感症じゃない限り、誰にだってわかる。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴木恵(鈴木恵TRIO/EXTENSION58)

 

日本製英国サウンドのパイオニア、または心に茨を持った5人衆「The Laundries」のサードアルバム「Synanthrope」が届きました。

バンドのサウンドを主に構築するギターの遠山くんは、僕と同郷の新潟生まれ。東京で「The Laundries」を結成、東京のライブハウスシーンでメキメキと頭角を表します。現在は、バンドを継続しながらも、一時的ながら縁あって再び新潟に居住されています。

このアルバムを聴いた時「また帰ってこれてよかったね。」と率直に思ったんです。最近は彼と音楽をやる機会も増えたので、終始状況を伺っていたのですが、レコーディング、リハーサルとその都度、雪の中、4時間かけて車で東京へ通い、深夜に車を飛ばして帰ってきては、また日常へ舞い戻っていく。

僕にはこの作品が、前作、前々作にも増して「情景が見えるサウンドになったな。」と感じました。ギターのフィードバックは、激しく降りしきる吹雪のようだし、輝きを放つメロウな歌声は、雪を溶かす春の陽気のよう。ラッパの音だって、ピアノの音だって、リズムだって、何もかも日常に溢れてる。つまりは、このバンドが最も欲していたと思う「北国の情景」を手に入れたんだよね。きっと、何かの模倣では掴むことができないリアルな北国感。「音楽を作る」というただ1つの目的のために、雪模様の高速道路を駆け抜ける。そんな一途な想いが、やがて時空を超え、自然とサウンドに溶け込んでいったのではないか。リアルな感覚というのは、リアルでしか手に入れることができないんだよね。こんな風に思ったら、なんか、途端に胸が熱くなってきてしまいました。

ともかくは、素晴らしい名盤であることは間違いありません。

最後に。バンドはね、長くやってりゃ良い、ってもんです。